最近、筋膜リリースという用語をよく耳にしますが、トリガーポイントの解消や筋膜の
癒着を剥がす目的で行われているようです。その手技は様々に行われているようで
すが、中でも母指や肘などにより拘縮した箇所を「グリグリ」と押しながら、スライドさ
せて行うものもあるようです。
筋肉は強い圧を加えると筋硬化度が増してきます。トリガーポイントは云わば部分拘
縮ですので、グリグリやるとさらに固くなり伸張性が激減します。
また、筋膜が癒着するのは、手術後や長期固定・筋の損傷後などにはみられることが
有りますが、通常の活動(日常や運動)では考えにくい状態です。癒着した組織は強烈
に引き離さなければ剥がらないことが多いようです。
筋肉を悪戯に痛みを我慢させながらグリグリやるのは如何なものでしょうか?
私は毎日手術をしている整形外科で20年間、運動療法の講師を務めてきましたが
術後の癒着は何度か観ましたが、通常の状態での癒着は観たことがありません。
また、癒着はかなり強い力からで、牽引力を働かせないと剥がれないようです。剥がれ
る時には「パツン」と乾いた音が聞こえる場合が多いようです。
身体を安全に調整するためには、まずしっかりした裏付けに基づきながら、手技療法を
行うことが先決ではないでしょうか。
因みに疲労物質はFF(疲労因子)と言われるもので、これはどんな運動でも蓄積します。
これが蓄積するとヘルペスウイルスが活性化し、過労死や脳卒中んぽ発生率が上がっ
て仕舞うようです。
FFを効率よく分解するためには、睡眠がよく1日8時間程度が望ましいようです。
栄養素ではイミダゾールペプチド(鳥の胸肉に多い)とビタミンC を摂ることで分解が促進
されます。
筋疲労に関してはつい最近まで乳酸の蓄積と考えられていましたが、研究の結果、乳酸
は疲労物質ではなく筋収縮の補助エネルギーだということが解ってきました。その乳酸が
筋疲労や筋拘縮の原因とは到底考えられないのです。ましてやグリグリやって乳酸を除
去するやり方自体理屈に合わないようです。
因みに、強く押さなくても皮膚反射と引き出せば、筋肉は緩み活動範囲が拡大します。